6月までには、米経済成長と増益の見通しが崩れ、低インフレを巡る懸念が金融議論の中心になり、国債利回りは2%近辺に低下している――1月の時点で私がこう言っていたら、読者は当然、株式ポートフォリオについて不安を抱いただろう。しかし、今のところ株価は好調だ。S&P500種株価指数は年初来15%上昇し、ドル換算ベースで下落している主な市場といえば韓国ぐらいしかない。破滅の日に備えつつあるように見える債券利回りにもかかわらず、株式投資家は景気後退の危険よりも比較的無害なインフレ目標未達の方が問題だと考えている。そのため低い債券利回りは株価の支援材料になっている。そうした安心には他にも大きな理由がある。連邦準備制度理事会(FRB)は長引く低インフレへの対策に保険を掛けるため、恐らく7月に利下げに踏み切るとの見方が一般的になっているのだ。1995年や98年のモデルを踏襲し、追加利下げが行われる公算が大きい。両年には、FRBは脅威をはねのけるべく迅速に動き、景気後退は来なかった。FRBが利上げを見送った2016年と似ている点もある。