今年のバークシャー・ハザウェイ年次株主総会の記念グッズ。貯金箱、Tシャツ、モノポリーゲーム、プレートなど多種多彩。中央のグッズ内のイラストは、右がウォーレン・バフェットで、左がバフェットの右腕で副会長のチャーリー・マンガー。今やそれぞれ78歳と85歳という高齢だ。

 バークシャー・ハザウェイの年次株主総会で、壇上に上がったウォーレン・バフェットとチャーリー・マンガー。2人は、何十年もの間、このスタイルで株主総会を取り仕切ってきた名コンビである。今やそれぞれ78歳と85歳の高齢であり、これから6時間近くに及ぶ株主との質疑応答、そしてそれに続く決議に臨むという事実はそれ自体が驚嘆に値する。

 アリーナ席の最前列には、バークシャーの社外役員や子会社のCEOらが並んでいる。ビル・ゲイツ(マイクロソフト会長)やスーザン・デッカー(元ヤフー社長)らの姿も見える。

 まずは簡単に手順を説明して、質疑応答が始まった。司会もいなければ、通常の株式総会にありがちな長々とした会計報告もない。これこそ、いかにもバフェット・スタイルと言おうか。彼は、毎年の業績報告書を「株主への手紙」として送付するが、そこでは「I (私)」という主語を用いて株主に直に説明しようとする姿勢が貫かれている。株主総会も、そのスタイルを踏襲しているわけだ。

チャーリー・マンガー副会長は、アメリカでもあまり表に出ることはない。弁護士を経て、本格的にバークシャーに関わるようになったのは1970年代のこと。最近話題になった中国のリチウムイオン電池メーカーBYDへの投資は、マンガーが主導したと言われる。Photo(C) AP Images

 ところで、バフェットは日本でもよく知られているが、マンガーはアメリカでもあまり前面に出てこない。マンガーは、第二次世界大戦での従軍後、ハーバード大学法律大学院を卒業。弁護士を務めていた頃に投資を始め、バフェットに出会った。本格的にバークシャーに関わるようになったのは、1978年のことだ。バークシャーの投資先にはシーズ・キャンディーや中国のリチウムイオン電池会社BYDなど、マンガーが乗り気で投資先に加わった企業も多い。

 株式総会では、株主の質問にまずはバフェットが答え、その後マンガーが手短に付け加えるというスタイルが続いている。古い時期からの株主には、知性と“冷たい”ウィットに満ちたコメントを述べるマンガーのファンも多い。

 さて、株主との質疑応答、およびその後開かれた記者会見に出てきたいくつかのテーマに沿って、バフェットとマンガーの回答を以下に伝えよう。

<マクロ経済環境>

 「小売り、製造、サービス関連のビジネスは、これからしばらくの間回復することはないだろう」とバフェットは言いきった。傘下に抱える70社近い企業の業績を分析した上での実感なのだろう。殊に小売りビジネスについては、厳しい時期が長く続くだろうと語っていた。