特定の政党が有利になるように選挙区を区割りする「ゲリマンダリング」は違憲だとした訴えを巡り、米連邦最高裁は27日、そのような区割りへの法的制限の適用を5対4で退けた。これで議員が党利党略を最大化する区割りを採用する余地が一段と大きくなった。ノースカロライナ州の民主党とメリーランド州共和党が、党利目的の選挙区割りは憲法違反だと訴えていた。最高裁は、原告団の主張は連邦裁判所が判断できない政治問題に当たるとした。保守派判事は多数派に入ったが、リベラル派の判事はこの判断に同意しなかった。これで将来、憲法を根拠にゲリマンダリングの抑制を目指す訴訟も起こせなくなった。最高裁のジョン・ロバーツ判事は「過剰な党派心による区割りは、合理的に考えて不当だとみなされる結果を招く。だが、こうしたゲリマンダリングが『民主主義の原理と相いれない』という事実は、解決策が連邦司法制度にあるということを意味しない」と述べた。その上で「連邦判事は二大政党の政治権力の割り振りを見直す立場にない。憲法にはその権限を与える妥当な根拠はなく、政党の判断を制限・指示する法的基準もない」と指摘した。