本当は
3倍以上で売れたかもしれない

 この材料を加味していれば、営業利益は4000万円から5000万円ではなかったでしょう。
 請負開発部門の営業利益が毎年500万円ほど改善していて、今後もその基調は続くと説明できれば、この会社の営業利益の水準は6000万円と主張することができます。

 そうなると、6000万円に8倍を掛け、純有利子負債の1億5000万円を引いた3億3000万円から交渉をスタートさせてもおかしくないのです。

 実際、この会社の翌年の業績は、売上は変わっていないのに営業利益が6000万円近くまで上昇したそうです。M&Aをサポートした業者の知識不足、売り手企業の知識不足は、売却価格を大きく下げる要因になってしまいます

 業者の知識不足はコントロールできませんが、売り手企業が少しでも知識があれば、業者を選択するときの判断材料になります。不当に安い価格で売却するリスクも、未然に回避できるのです。

※次回は、買い手企業と手を組んで億単位でピンハネした、悪徳業者のケースをお伝えします(7月15日公開予定)。