◆自分で考える子どもの育て方
◇保護者からコーチへ

 親が先回りをして、子どもにやるべきことを指示していく。こうした環境下では、子どもは受け身になり、自立心や自分の意志を持つことが難しい。親は常に保護者モードでいようとするため、子どものスローペースな行動にイライラしてしまう。

 そこで著者は、いったん親の視点から離れ、選手を冷静に見守り励ますような「コーチ」の目線を持つことをすすめている。こうすると、子どもが失敗しても、親がイライラすることが減る。子どもたちのペースも成長の速さも様々だが、速度が遅いからといって、もどかしく思う必要はない。コーチ目線を取り入れる目的は、「子どもが自分でできることを増やすこと」だからだ。子どもができる範囲で「自分でやる」経験を積むことにより、自立心が高まっていく。

◇役割を与える

 平成25年度に、「我が国と諸外国の若者の意識に関する調査」が行われた。その調査では、日本人は諸外国に比べ、「自分は役に立つ」「まわりを信じられる」といった、他者との関係で自尊感情が決まる傾向が強いという特徴が明らかになった。

 ここでのキーワードは、役割である。役割を通して、子どもは自分が必要とされている実感を得られる。子どもを大きく成長させるきっかけは、「まわりに認められた」という経験なのだ。

「自分が関わって何かが良くなると嬉しい」。この感覚を子どもに味わってもらう方法に、「お手伝い」がある。「手伝ってくれて、ありがとう」というメッセージは、子どもが実際にしてくれたことへの感謝である。より深く、子どもの心に響くにちがいない。

◇子育ての目的

 子育ての目的とは何か。著者はこの質問を、オランダの保育者や先生に投げかけたことがある。その際、誰もが「子どもの自立」と言い切ったという。当初は、「子どもが将来、幸せな人生を送ることが目的」と答える人もいると予想していた。だが、子どもの人生の責任を親が感じすぎるのは、「子どもの自立」とは真逆の発想だという。

 日本では、親が子どものことを自分ごとと捉えすぎている場合が多い。結果として、親が子どもの判断に介入しすぎるのは問題だ。子どもは自分の選択や行動に責任を持たないまま、大人になってしまう。