京都府警で重大な不祥事が相次いで発覚し、揺れに揺れている。5日、山科署の巡査長が特殊詐欺被害の緊急通報を悪用して、高齢男性から約1100万円を詐取したとして詐欺罪で起訴され、本部長が記者会見で謝罪する事態に発展した。また同日、警察学校初任科生の巡査が自宅に大麻を隠し持っていたとして、大麻取締法尾違反(所持)の疑いで逮捕された。巡査は柔道の世界ジュニア選手権優勝者で、柔道の指導教官として将来を嘱望されていた。一方で昨年8月、大阪府警富田林署から容疑者が逃走し、本部長が謝罪した事件をご記憶と思う。一般の方はご存じないと思うが、実は警察本部長の謝罪というのは極めて異例のことだ。2つの「府警」にとって夏は受難の季節なのだろうか。(事件ジャーナリスト 戸田一法)
警察本部長の謝罪の重み
最近は警察官の不祥事が珍しくなくなり、ニュースで報じられても驚かなくなってしまったが、通常は警察署であれば副署長、本部であれば監察官(警察内部の不祥事などを調査する部署・役職)が「再発防止に努める」「指導、教養を徹底したい」などのコメントを出すぐらいだ。
かなり深刻・重大な事案で全国ニュースになるレベルの不祥事であったとしても、通常は警務部長(警察本部のナンバー2)が記者会見で釈明するのが普通で、本部長が記者会見を開いて謝罪するというのは、実は年に1度あるかないかだ。
昨年4月、滋賀県彦根市の交番で19歳の巡査が上司の巡査部長を射殺し逃走した事件でも、巡査逮捕の記者会見では警務部長が謝罪しただけだった。数日後の定例記者会見では、鎌田徹郎本部長が「極めて遺憾」と謝罪したものの、県警は徹底して撮影を認めなかった。
2017年5月に特殊詐欺事件の証拠品として保管していた現金8572万円が、広島県警広島中央署会計課の金庫から盗まれたのが発覚し、そして、関与したとみられる男性警部補が死亡した後の今年4月の記者会見では、石田勝彦本部長が「県民と社会のみなさまに深くおわび申し上げる」と謝罪したが、質疑応答に立ち会わず退席していた。