ただ、ATMはむやみやたらに共同利用できない。というのも、自行のキャッシュカードが提携先のATMで使用されると、そのたびに手数料を提携先に支払う必要がある。つまり、メガバンクのように巨大ATM網を持つ銀行と提携すれば、顧客が提携先のATMばかりを使い続け、一方的に手数料を“搾取”されかねないわけだ。

 故に、提携先の銀行を増やすことは、自行のATMの台数を減らしてコストを削減することと両輪で取り組む必要がある。冒頭の幹部が指摘した「バランスの問題」とは、まさにこのことだ。

 そして、共同利用に関しては、3メガで唯一手を挙げていないみずほ銀行の動向が注目されるが、そうなっている背景には同じ「バランスの問題」があるようだ。

 そもそもみずほ銀は目下、新しい勘定系システムへの移行に取り組んでいる最中。三菱UFJ銀・三井住友銀の両陣営は、共同利用は「みずほさんから話が来れば検討する」(メガバンク幹部)という待ちのスタンスだ。

 みずほ銀はさかのぼること2013年、イオン銀行と一緒にATMの相互開放にいち早く踏み切っており、すでに当時から、「ナンバーワンのATMネットワーク」(みずほ銀元幹部)という自負があったという。

 みずほ銀は、イオン銀との相互開放を含めた受け入れ手数料の収支は今でもプラスという。そのため、ATMの共同利用について、他メガとは一線を画し、「独自戦略でやりたい」(事情に詳しい関係者)という思惑も捨て切れないというのだ。

 その一方で、顧客利便性を考えると、メガ同士の共同利用への期待が高いのも事実だろう。みずほ銀は、7月の3連休にシステム移行の最後のヤマ場を迎える。3メガそろい踏みの巨大ATM網ができるか否かは、システム移行という課題克服後の、みずほ銀の腹積もり次第といえそうだ。

地銀がせまられる
コスト削減か顧客利便性かの選択

 ATMの共同利用は地銀同士でも検討が進んでいる。だが、ある中堅地銀の幹部は、「効率化を図ろうと話し始めるが、内容を詰めていくとスムーズに進まない」とある問題を指摘する。

 同行は東北地方の地銀で、コスト削減という観点から、同じ県の最大手地銀とATMの共同化の話が進んだが、課題にぶつかった。