消費税率引き上げを柱とする税と社会保障の一体改革関連法案が民主、自民、公明3党の賛成で衆議院で可決された。衆議院同様、参議院でも一部の民主党議員の反対、棄権が予想されるが、可決は確実。3党合意には社会保障給付抑制の具体策がほとんどない。逆に、具体的な合意項目は給付を増やすものが多い。
6月26日、税と社会保障の一体改革関連法案は、多数の民主党議員の反対、棄権があったものの、民主、自民、公明3党の賛成で衆議院を通過した。一体改革をめぐって、民主党と自民党は対立しているように見えたが、当初から社会保障費や財政収支改善のための財源としての消費税率引き上げについては両党間にズレはなかった。
4月11日の党首討論も、野田佳彦首相が「自民党の公約原案にも消費税10%と書いてある。なぜ(協議に)待ったをかけるのか」と与野党協議を呼びかけたのに対し、谷垣禎一自民党総裁が「無礼千万」と切り捨てたが、これは自民党内での連絡ミス故だった。
対立する高齢者医療年金の結論は先送り
実は、討論前日である4月10日の「谷垣総裁は尊敬する政治家」という野田首相の発言を受け、この党首討論で谷垣総裁が協議に前向きな返答をするはずだった。そのシナリオが谷垣総裁に伝わらなかったがためのすれ違いだった。
上の表を見てもわかるように、民主、自民、公明の3党合意の中心は、消費税率の2014年4月に8%、15年10月に10%への引き上げだ。年金、高齢者医療制度など意見が対立する社会保障については、新設する社会保障制度改革国民会議に議論を委ねた。同じく意見の一致しない消費税率引き上げ時の低所得者対策についても結論を先送りした。