だが党内の議論は財政健全化重視で、党税制調査会の幹部も財務省と呼吸を合わせてきた財政再建派が主流だ。

「首相も本音はMMTを後ろ盾に財政をふかしたいはず。自分は党内の議論を積極財政に誘導する先兵の役割だ」。

 リフレ派の中でも金融緩和を求める急先鋒だった山本幸三・元地方創生相とも「次は財政出動」で一致しているという。

 アベノミクスに陰りが目立つ中で、首相側近や政策ブレーンたちの財政への期待が高まる。

「反緊縮」のリベラル勢力と
保守派が共鳴しあう構図

 リベラル勢力の中で積極財政への転換を求めて「反緊縮」の「薔薇マークキャンペーン」を立ち上げたのが、松尾匡立命館大学教授を中心にする学者や社会活動家のグループだ。

 薔薇マークは、労働者の尊厳を表すシンボルであると同時に「(お金を)ばら撒く」ともかけているという。

「人々の生活のために積極的な財政支出」を掲げる候補者に「薔薇マーク」を認定する活動を展開。参院選でも、立憲民主や国民民主、共産党などの49人を認定した(16日現在)。

「政府が社会保障や教育などに積極的に支出をすることで、雇用を拡大し経済を底上げする政策をすすめる候補者を可視化し、支援の輪を広げたい」と松尾教授は言う。

 MMTはもともと欧米のリベラル勢力が拠りどころにしたものだ。

 その代表は、英国労働党を率いるジェレミー・コービン党首。「人民の量的緩和」を掲げ、イングランド銀行が政府に資金を供給、労働者向けの住宅や福祉、教育などの分野に積極的に財政資金を使って雇用を創出することを提唱し、2015年の党首選で圧勝した。

 EUでは、金融政策が欧州中央銀行に一本化され、財政赤字に枠がはめられているため、各国が自国の状況に応じてマクロ政策で景気を調整できず、国によっては失業やインフレを抑えられないでいる。

 国民の不満を背景に、フランスやスペインでもMMTを掲げた左翼政党などが支持を広げている。

 米国では、「社会民主主義者」サンダース上院議員に共鳴し、昨年の中間選挙、史上最年少で当選したオカシオコルテス下院議員が「グリーンニューディール」を提唱。

 サンダース氏も、働く意欲のある人全員を政府が雇って最低限の賃金を支給する「雇用保障プログラム」などを掲げ、来年の大統領選に出馬を表明している。

 ケルトン教授はサンダース氏の上級経済顧問でもある。