米中テクノロジー戦争は世界中に広がっているが、フィリピンはもはや戦場ではない。同国は自国の電気通信の将来を中国に託しつつある。フィリピンでは6月下旬、初めての第5世代移動通信システム(5G)のサービスが華為技術(ファーウェイ)製の機器を使って開始された。今月中には、中国国有の中国電信が出資する新たな電気通信会社が、主に中国で設計されたネットワークをフィリピンで展開し始める。担当するのは中国のエンジニアだ。こうした動きは米国の打撃となる。同国はここ数カ月、同盟諸国にファーウェイ排除を迫ってきた。当局者らは、中国企業が自国政府のスパイ活動に引きずり込まれかねないと主張している。フィリピンをはじめとする国々が米政府からの圧力をはね返すなか、各国の戦略的に重要なインフラに中国企業が深く食い込みつつある。こうして各国は中国との結び付きを強めている。媒介となるのは、経済成長から軍事計画に至るまで社会に大変革をもたらすとみられる新しい技術の波だ。
米中ハイテク戦争、中国を選んだフィリピン
同盟相手の米国の圧力かわし、中国企業と提携して通信ネットワーク強化
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