杉村太蔵氏が始めた
「日本版ベーシックインカム」
前回の記事で、参院選に向けた各野党の公約の経済政策がいかに目先の「バラマキ優先」となっているかを説明しました。この点について、野党の政治家の方々と話すとよくいわれるのは、「野党は与党の政策に対するアンチテーゼを提示するのが大事」ということです。
しかし、野党の役目はアンチテーゼだけでよいのでしょうか。さらにいえば、野党の人たちは「野党だと政府の権限も予算も使えないので無理だけど、政権の座に着いたら経済を良くできる」と言いますが、そもそも政治家は与党の座にいないと政策を実行して景気をよくすることはできないのでしょうか。
当たり前ですが、そんなことは絶対にありません。もちろん、政策を実現する王道は国会審議を経て法律を制定し、政府の権限や予算を行使することです。しかし、そうしたプロセスを経なくても、国会議員にやる気さえあれば、少なくとも自分の選挙区、つまり地元の地域経済の景気をよくする行動、広義の意味での政策を立案・実現することは可能なはずです。
加えて言えば、それは国会議員に限定されず、地方議員、さらには民間人であっても十分にできることなのです。
最近、大学院の私の研究室に所属する博士課程の学生が、まさにそれを証明してくれました。その学生とは、元国会議員で今はタレント兼政治評論家をしている杉村太蔵君です。
杉村君は、博士論文のテーマとしてベーシックインカムに着目しました。欧米では、ベーシックインカムというと、第四次産業革命により機械に仕事を奪われる人間の生活を保障するために、全国民に一定額の金銭を給付するものと考えられています。