だが、今回は安倍政権6年間の実績を前面に出した。「アベノミクス」による経済成長(第51回)や「働き方改革」(第177回)などの中道的な社会政策、「特定秘密保護法」「安保法制」「テロ等準備罪法」などの安全保障政策(第189回)、そして「安倍外交」(第192回)の実績を示し、政治の安定を訴えたのだ。

 一方、自民党の選挙公約はこれまでと比べて、非常に抑制的なものとなった。派手な景気対策のための補正予算や金融政策は打ち出されなかった。加えて、消費税率を8%から10%に引き上げて「教育無償化」を推進するとした。また、国論が二分しており、これまでの選挙では「争点隠し」(第64回)されてきた「憲法改正」を堂々と主張した。

 つまり、これまでの業績の評価を国民に求めるとともに、国政選挙に5連勝することで獲得してきた「安倍一強」と呼ばれる圧倒的な権力と政治的リソースを初めて、国民に不人気だが、政権が必要だと考える政策を断固として進めるために使おうとした選挙だといえるのだ。

 その結果は、野党が壊滅状態でとても政権を担えるような状態ではないため、安倍政権の実績が「まだマシ」ということになったのだろう。目玉のない地味な選挙となったが、それでも有権者の期待に働きかける国政選挙が続いていた状況に区切りをつけて、「政権選択」ではなく、「政権運営」そのものを評価する本来の健全な参院選の姿になった。一定の評価ができるのではないだろうか。

24年ぶりに5割を切った投票率
全政治家が厳しく受け止めるべき

 今回の参院選は、投票率が24年ぶりに5割を切り、48%にとどまった。これは、与野党問わず、すべての政治家が厳しく受け止めるべきだと思う。

 選挙運動中、盛り上がっていたのは安倍首相を熱狂的に支持する人たちと、かつての学生運動の「夢よもう一度」とばかりに「反・安倍」で盛り上がりたい高齢の左派だけではなかっただろうか。山本太郎氏率いる「れいわ新選組」に多額の寄付が集まり、街頭演説が異様に盛り上がっていたが、結局比例代表で2議席にとどまった。山本氏本人も落選となり、局地的な盛り上がりに過ぎなかったといえる。