黒人票の重要性は、大統領選挙の2年後に行われた2018年の中間選挙で、早くも証明されている。民主党が躍進したこの選挙では、黒人の投票率が51%を超えた。大統領選挙での投票率よりは低いが、2014年の中間選挙と比較すると10%以上の大幅な上昇である。

二大政党間の分断が人種間の
分断との共鳴を強める

 2020年の大統領選挙で民主党がトランプ大統領の再選を阻むには、黒人の支持者を着実に投票に向かわせることが大前提となる。すでに述べたように、オバマ大統領支持からトランプ大統領支持に転じた白人ブルーカラー層は、非白人や移民への否定的な感情が強い。支持者の9割弱を白人が占める共和党と違い、非白人の支持者が4割強を占める民主党が、こうした有権者を取り戻すような政策を打ち出すのは難しい。もう1つの「忘れられた人々」である黒人に、まず民主党の関心が集まるのも無理はない。

 もっとも、こうした民主党陣営の黒人票への執心は、さらに人種間の分断を深めかねない。トランプ大統領の過激な言動に呼応するように、民主党の主張も先鋭化しているからだ。

 たとえば民主党の一部には、奴隷制による経済的な損害を理由に、黒人への補償金の支払いを主張する声がある。全米での支持は3割に届かず、黒人初の大統領であるオバマ大統領ですら否定的だった政策だが、サンダース議員やウォーレン議員、ハリス議員といった候補者たちは、その是非を検討する価値はあると主張している。

 トランプ大統領の下で、共和党の支持者も変わってきた。2019年7月に行われた世論調査によれば、共和党支持者の6割弱が「米国は世界中の人々に開かれすぎており、国としてのアイデンティティを失うリスクがある」という指摘に同意している。トランプ政権が誕生した2017年の調査では、同様の回答は5割に満たなかった。

 かねてから米国では、二大政党間の分断の深まりが指摘されてきた。2020年の大統領選挙では、そうした2大政党間の分断が、人種間の分断との共鳴を強めている。