「あ、またあの怒りっぽいお客さんが来ている、今日も何か言われるのかな…」
こんなふうに思いながらも、仕事上、笑顔を作って対応することが求められる職場で働いている方は多いのではないでしょうか。仕事でこのような場面を多く経験すると、感情がすり減ってしまったかのような、いわゆる「燃え尽き症候群」と呼ばれる状態に陥る危険性があります。
これまで仕事は個人の能力の割き方によって、「肉体労働(筋力などの身体能力)」「頭脳労働(専門的な知識や情報処理能力)」という形に大きく区別されてきましたが、最近では「感情労働」という労働形態もそれに加わり、注目が高まっています。
燃え尽き症候群になりやすい「感情労働」
感情労働とは、サービスや商品を提供する際に笑顔や明るい声など、決まった感情表現を作り出すことが業務の一部として当然のように課せられている仕事のことです。医療や福祉、教育などの対人サービスの仕事も当てはまりますし、客室乗務員やコールセンターの業務などもまさに感情労働です。
また、上記の職種に限らず、感情が不安定ですぐ怒りだす上司や同僚と働かなければならないなど、心身をすり減らすような対人関係に直面する仕事も感情労働に当てはまります。
そんな感情労働の人が陥りやすい燃え尽き症候群は「バーンアウト」とも呼ばれ、主に仕事において心身のエネルギーを消耗し尽くしてしまうような状態を指します。
バーンアウトの状態に陥ると、仕事におけるサービスの受け手(例:客や患者、児童・生徒など)に対して思いやりのない紋切り型の対応をするようになったり、仕事での達成感を得られなくなったりする傾向があります。さらに、メンタルヘルスの不調だけでなく、パフォーマンスの低下や離職につながることも明らかになってきています。特に、医療や福祉、教育などの対人サービスの現場で、バーンアウトに陥りやすい傾向があります(参照:「CA、看護師…笑顔を強いられる職場で『燃え尽き症候群』に陥る理由」)。