自動運転の時代運送会社はいらなくなるかも
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従来型の物流業の参入障壁が低くなる中、テクノロジーと日立ブランドを武器に、生き残りを図る日立物流。「金流・商流・情流・物流」の4つの流れを束ねるプラットフォームとは何か、また、2016年から資本・業務提携する佐川急便グループとの今後について、中谷康夫社長に話を聞いた。(聞き手/ダイヤモンド編集部 柳澤里佳)

――2019~21年度の中期経営計画では、そうした「市場の変化+既存技術の陳腐化=業界の垣根を越えた主導権争い」に対して、「金流・商流・情流・物流の4つの流れを束ねるサプライチェーン」で対抗すると打ち出していますが、どういう意味ですか。

 もともとWMSという倉庫管理システムは顧客の商流(サプライヤー~メーカー~卸売り~小売り~消費者)から来るデータ、さまざまなオーダーが入りますから、このデータは身近にありました。その次、出荷したデータを顧客に送ると、そこで決済が生じます。これがファイナンスのデータ(金流)になります。

 物流現場で所有権の移転、つまり決済ってほとんど済んでいるんですね。日立物流が3PL(企業の物流を包括受託するサードパーティーロジスティクス)受託している顧客は内部統制の中に日立物流の在庫管理が組み込まれています。それは顧客の財務諸表に影響を与えているということ。となると、われわれの情報はより重要で、例えば顧客の資金繰りにポジティブな影響を与えることもできる。

 物流業ってこれまでどうしても受動的だったけど、事業環境が目まぐるしく進化する中で、もっとわれわれから主体的に発信できるのではないかと。色んなパートナーと協業しつつ、4つの流れを束ねる存在になりたい。

――物流をベースにしたプラットフォーマーになりたいということですか。

 例えば、スマート安全運行管理システム(SSCV)というものに重点的に取り組んでいます。物流業ではどうしても事故が起きるけれど、事故の原因の4分の1はドライバーの体調不良です。これはきちんと対策をすれば減らせる。

 これまでもドライバーは出勤したら血圧を測って酒気帯びでないか計測していました。送り出す人間が最終チェックもします。ドライバーが帰ってからも同様にやります。しかし、もっとできることがある。

 SSCVではドライバーの運行前の生体情報と、運行中の生体情報と車載機器からの危険シグナル、それらをクラウドに集約して、AIで分析する。事故とかヒヤリ・ハットになる状況を判断して、リアルタイムにドライバーや管理者に伝えて、事故を未然に防ぐ。理化学研究所や大学の研究機関、日本疲労学会にも入ってもらって、研究を進めています。

 これをやっていくとトラックの管理全般につながって、包括的なマネジメントができるようになる。安全運行は業界全体の関心ですから、他の輸送事業者、バスやタクシー会社にもサービス提供できるのではないか。

 あるいは車両整備や保険会社、医療業界にデータ提供することも、できるでしょう。

 データ量は、日立物流では19年度で1300台ベースになり、今後は1万台ベースにして、この中計期間中にグループを超えて、サービスやデータをシェアしていきたい。一部は19年度中に事業化する予定です。