エコノミストが好んで参考にするリセッション(景気後退)予想の指標に異変が見られる。米10年債利回りは3カ月物短期証券(Tビル)の利回りを下回り、目先の危険を示す最も確実なシグナルを発している。だが長短金利の逆転が見られない年限もある。一例として、30年債利回りは依然として10年債利回りより十分高い水準にある。過去のリセッション前には、長期債利回りの方が低くなっていた(3番目のグラフ)。現在の曲線は「V」字型に近い。どういうことか。見方によってはV字型は慰めになる。短期的には波乱含みでも、長期的には正常なように見受けられるからだ。目下のところ、市場は連邦準備制度理事会(FRB)による複数回の利下げ可能性に身構えている。米中の貿易戦争が激しさを増し、経済指標は弱まっている。そのためイールドカーブは最も年限の短いものから5年債にかけて、右肩下がりを描いている。年限が長いほど、利回りが低い。これは典型的なリセッションの兆候だ。