ドナルド・トランプ米大統領の対中政策は失敗しつつある。トランプ氏の強硬的なアプローチは中国側の大幅な譲歩を引き出すには至っていないが、米経済に及ぼす打撃は拡大しつつある。現在、中国は世界各国とのつながりを強めているが、米国は一段と孤立化している。中国の不公正で国家統制主義的な経済慣行に効果的に対抗するためには、米国は手法を変えなくてはならない。内容を絞り込んだ要求を実現するため、同盟諸国や国際機関を味方につけるべきだ。対中関税は、短期的に米経済に明確な打撃を与えている。2019年第2四半期には企業の設備投資の減少として影響が現れており、今年の国内総生産(GDP)の伸び率を約0.5ポイント押し下げる可能性が大きい。これは必ずしもトランプ氏の政策を非難するものではない。労働者がストに踏み切る際には短期的に収入が減ることを覚悟している。しかし彼らは、その後の長期間の賃上げというより大きな成果によって、損失分を取り戻せることを期待している。