現在、次々と定年を迎えつつあるのが「ポスト団塊世代」の男たち。“一億総中流社会”で大事に育てられ、子ども部屋を持ち、習い事や、スポーツや音楽などの趣味も多彩。バブル崩壊や長引く不況を経験し、それまでの社会的価値観が大きく転換した世代でもある。彼らが定年を迎えたとき、妻や家族から嫌われる典型的なパターンとは何か。彼らは妻や家族といかにして接するべきだろうか。(家族問題評論家・エッセイスト 宮本まき子)
メディアに登場する定年男性像は、たいがい亭主関白ですね。在職中なら「メシ、風呂、寝る」「俺が食わせてやっている」の俺さま仕様。定年後にお家に居放題になると、「どこへ行く?」「いつ帰る?」「俺のメシはどうなる?」と女房の活動をチェック。
加えて家庭内管理職となって炊事、洗濯、掃除に手も口も出して家事が非効率的と糾弾。家計管理とかで買い物に同行して倹約&節約を推奨し、無駄遣いを戒めるのは、まるで二宮尊徳の回し者です。
妻にまとわりついてちょっかいを出したり甘えたりする“突発性幼児期化退行現象”は「人恋しさ」ゆえだから、うっとうしくても適当に手のひらの上で転がしておこう。
そんな定番のアドバイスが通用しなくなったのは、定年対象年齢がポスト団塊世代に移行したからでしょう。
キャラが濃い団塊世代から
さめたしらけ世代へ
高度成長とバブル景気を駆け抜けたプレ団塊&団塊世代のモーレツ社員たちは「仕事いのち」で家庭では完全なアウェーでしたから、離婚時の年金分割制度(2007年)ができたときは震え上がったようです。
しかし、妻たちもまたモーレツでした。