米企業の自社株買いが1年半ぶりの低水準に減速している。法人税改革を受けた自社株買いの勢いが弱まるにつれ、この先市場のボラティリティーが一段と高まる兆しかもしれない。S&Pダウ・ジョーンズ・インディシーズの推計によると、S&P500種構成企業が2019年4-6月期に実施した自社株買いは総額約1660億ドル(約18兆円)と、1-3月期の2058億ドル、前年同期の1906億ドルをともに下回った。これは2017年10-12月期以来の低水準で、2四半期連続の減少となる。米中貿易摩擦の激化で相場のボラティリティーが高まったなかで企業が自社株買いの手を緩めたことに、一部投資家は警戒感を強めている。S&P500種株価指数は5月に7%近く下落したが、自社株買いデータからは、企業が18年10-12月期のように株価の下支えに踏み出さなかったことがうかがえる。