世界中の約16兆ドル(約1700兆円)相当の証券は、マイナス利回りで取引されている。オーストリアは今年夏、100年物の超低金利国債を発行した。ドイツは今週、30年物のゼロクーポン国債の入札を行った。同国債を買った投資家は、何の見返りもないのに30年間にわたって国に資金を貸し付けることになる。米財務省も今こそ、この異常な金融情勢を利して、資金調達コストを抑制すべきなのかもしれない。米財務省は16日、50年物、100年物国債への「市場の需要への理解を新たにするための広範な調査」を行うとの文書をウェブサイト上に掲載した。オバマ政権はこのアイデアを検討したが、こうした現行より期限の長い債券への需要が弱かった場合に生じる米国の信用度への評価リスクを懸念した。この時は、債務上限をめぐる論争が米国の格付け引き下げをもたらしてから、あまり時間がたっていなかった。しかし投資家は現在、質への逃避から米国債に群がっている。