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現場力を伸ばす先端IT活用の鉄則

日本のITの方向性のヒントにもつながる、沖縄の未来と課題

安間裕
【第13回】 2012年7月11日
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 この「巨大なろ過装置」のおかげで、地元の方々曰く、宮古島の周辺は世界で一番美しい海になっているんだそうです。

 一方で、この「ろ過装置」のせいで、長い間、宮古島は農作物の栽培には最悪の島で、沃土の形成が出来ないということにもなっていました。

 そこで、米国統治時代に、「地下ダム」というものが作られました。「地下ダム」とは、いたるところの地下に「壁」を打ち込み、石灰岩に溜められた水を堰き止め、地中に巨大な貯水槽を作ろうというものです。

 もともと、宮古島ですから、雨は豊富に降ります。このことにより、豊富な雨水を地下ダムによって「貯水」し、石灰岩に溜められた水をスプリンクラーによって吸い上げ、薄い表土の上に散布するという、素晴らしい、「人工農地」が作られました。

 この「人工農地」が、糖質純度の高い宮古島のサトウキビの生産の理由となっているとのことです。

 そこにきて、昨今、自然エネルギーが取りざたされ、非常に素晴らしいさとうきびを使ったバイオエタノールの研究施設が宮古島に作られました。

 このバイオエタノールは、当然ですが、海外、特にメキシコなどと比べコストが高く(労賃などによるところが大きいんでしょうが)、いかに高い技術を擁していても、ビジネスとしてはなかなか成立しないんだそうです。

 一方、バイオエタノールを生成する過程で、各種の「副産物」が発生します。この「副産物」ですが、例えば、非常に良質の「ポリフェノール」が「ごみ」として、作られます。

 この良質の「ポリフェノール」は、がんや老人性認知症などに効果があるとされ、製薬メーカーなどから、とても注目されているんだそうです。

 それだけではなく、変わったところでは、英国の「競争鳩」マーケットが注目しているのだそうです。この「ポリフェノール」を食べた鳩は、ものすごくよく飛ぶということで、買い付けの交渉に来たりしているとのお話でした。

 このバイオエタノールの研究施設は、国の補助金で運営されています。ここで、いかにも日本のお役所っぽい話があって、「あくまでバイオエタノール研究のための補助金」であり、「副産物であるポリフェノールの商用化の方が有効というのでは補助金の継続は難しい!」ということのようで、訪問させていただいた際には、「非常に苦労している」とお話しされていました。

 ついでに、もうひとつ、バイオエタノールを生成中に発生する良質のアルコールから、とってもおいしい、泡盛を作ることも出来ます。これも、同様に「副産物」なので、ビジネスに結びつけるのは難しいのだそうです。

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グローバル経済のなかで地盤沈下の進む日本。再びIT先進国として飛躍するためには、ITをビジネスの武器とする発想が必要だ。ビジネスは現場が肝心。現場の意思決定のスピードアップなど現場力向上に先端ITをどう生かしていけばよいか、IT業界のフロントランナーがわかりやすく解説する。

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