日本景気が軟調なのは
太陽エネルギー低下のせい?
景気循環と太陽の黒点数の増減が連動するという「太陽黒点説」という学説がある。太陽黒点説は、1800年代後半に英国の経済学者・ジェヴォンズによって提唱されたといわれており、太陽の黒点が増えているときは、太陽エネルギーが増大して地球に降り注ぎ、主に農作物の収穫高の増加を通じて、景気にプラスに働くと考えられている。
筆者は、この説に触れた当初、農作物・一次産品が経済に占めるウェイトは200年程度前に比べると下がっていることもあり、現在は有効な学説ではないと思った。太陽エネルギーが増大すると、農作物だけでなく人間の消費マインドにも好影響を及ぼし、消費活動が活性化して景気にプラスとなるため、現代の景気にも太陽黒点数は多大な影響を与える、という見方もあるが、筆者はこの見方にも、これまで共感できなかった。太陽エネルギーで消費マインドが改善し、景気にプラスに作用するという効果が、弱いと思ったからだ。
しかし、ここ数年の太陽黒点数(図1参照)と景気動向を振り返ると、現代でも景気循環と太陽黒点数との間には強い相関関係があるようにみえる。過去30年間に起きた大きな金融危機に1987年のブラックマンデー、1997年のアジア通貨危機、2008年のリーマンショックがあるが、いずれも太陽黒点数が非常に少ない時期に起きている。
曇天が続くと、夏場は冷たいアイスやビール、レジャー関連の支出が減り、消費悪化要因になる。今年の7月がまさに同じ状況で、7月の小売業販売額は、1年9ヵ月ぶりに前年比減少に転じてしまった。太陽の動向が景気に一定の影響を及ぼすといえそうだ。
そして現在、太陽黒点数が再び非常に少ないことは気がかりだ。日本の景気が芳しくないのは、太陽エネルギーの低下が人々の消費マインドを冷やし、消費に悪影響を及ぼしているためかもしれない。