日本発のコンテンツが
世界に届きにくい理由

 前回に引き続き、「カンヌ国際クリエイティブ祭」(正式名称:カンヌライオンズ 国際クリエイティビティ・フェスティバル、Cannes Lions International Festival of Creativity)のお話をさせていただきます。

 カンヌでは、「情報の受け手の心に響くストーリーを描くこと」の重要性を再認識する貴重な機会を得たことを、前回お話ししました。

 今回お話ししたいのは、「作品のグローバル化」という大きな流れを改めて実感したことです。

 各部門の受賞作品の多くは、複数の国を巻き込む世界規模の同時プロモーションであったり、どこかの国で話題になったコンテンツが、ソーシャルメディアによりリアルタイムで世界中にシェアされるという仕組みを持つものでした。グローバルでのプロモーションが可能になったのは、もちろんデジタルテクノロジーにより世界のネットワーク化が進んだおかげです。

 ところが、日本はそのネットワークになかなか入って行けない現状があります。実際、よほど特別な場合を除いて、日本国内発の記事やコンテンツが海外で大きく報道されることは、そう多くありません。

 その大きな原因の一つが言語の問題です。

 日本国内でウェブ上を流通する情報の大多数は日本語のみのコンテンツです。世界人口70億人のなかで、日本語を理解できる人はごくわずかです。一般に、英語、スペイン語、中国語などメジャーな言語が公用語である国以外では、世界に向けて情報発信する際には、意図的に母国語と英語を併用します。

 日本でも、本格的な国際化に対応せざる得ない社会・経済環境の変化のなか、英語の活用について議論がなされてきました。