モンテスキューの「三権分立」

 国王が好き勝手なことをやるなら、権力は分けなければいけない。
 モンテスキュー(1689−1755)は、司法と立法と行政を分ける「三権分立」の思想を発表した。これは未だに生き残っていますね。分立させたら国王も好き勝手にはできない。もう一つの考え方もある。
 権力を持っている人がどんどん悪いことをするなら、ロックが唱えた「抵抗権」がその代表ですが、人民が抵抗する権利を前面に出す。この2つが代表的な考え方ですね。

 これも国王が勝手なことをしたから、みんなが必死に考えて、我々には本来抵抗する権利があるとか、生まれながらにして本来みんなは平等だとか、国王には単に統治の権利を委託しているだけだとか、権力自体を分散させようといった考え方が出てきたのです。

 でも、この三権分立という考え方も、実は難しい。
 これは、ホット・イシューなのであまり深くは立ち入りませんが、国と国とが「これで手打ちしよう」と約束したとします。
 
 それは三権分立でいえば、行政と行政が、あるいは立法と立法が手を結ぶわけです。
 でも、本当に権力が分立しているのなら、裁判所が立法や行政と違う判断をしても、「けしからん」と怒ることはできないのですよね。

 三権が本当に分立していたら、別に行政や立法がどういおうと、裁判所は自分たち独自で判断するぞと。
 そういう意味では、近代国家でつくられた理念は未だに生きているし、なかなか難しいし、理解が難しい面もあるのです。

(つづく)