米国は足元、2つの「供給ショック」に見舞われた。サウジアラビアの石油生産施設への攻撃で原油価格が急騰したことと、全米自動車労働組合(UAW)がゼネラル・モーターズ(GM)工場で12年ぶりのストライキに突入したことだ。いずれの出来事も単独ではそれほど懸念すべき問題ではない。だが、どちらも米国や世界にとって、立て続けに起きている供給ショックの新たな事例なのだ。その一部は、ボーイングの新型ジェット機「737MAX」の飛行停止(これにより航空運賃がやや上昇)や「アフリカ豚コレラ」のまん延(これにより中国の豚肉価格が高騰)のように、特異かつ深刻だ。その他の事例は、よりシステミックで緩やかに進行する。グローバル化の後退による貿易障壁の拡大、移民排斥論の高まりで米国など高齢化社会において労働者不足が深刻化するリスク、原油市場にくすぶる地政学的な脅威といったものだ。
原油急騰とGMスト、積み重なる「供給ショック」
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