アリストテレスは、
プラトンのどこに反発したのか?
この考え方に、プラトンに弟子入りしたアリストテレス(BC384−BC322)は反発する。
なぜかといえば、アリストテレスは古代ギリシャの自然哲学者の考えに近かったので、プラトンのイデアの説明に納得がいかなかったのかもしれません。
アリストテレスはものすごく「観察をする人」でしたから、動物学や生物学でもたくさん著書を残しています。
動物学や生物学は、観察していたらいろんなことがわかる。
卵から孵(かえ)った鳥がこんなに早く大きくなるなど、ジーッと観察していたらいろんなことがわかる。
でも、「イデア」は「観念の産物」だから、いくら観察しても何もわからない。
だから、アリストテレスはまたイオニア派(タレスを祖とするイオニアのミレトスを中心にした自然哲学者のグループ)のほうに戻っていくのです。
アリストテレスのほうが、自然科学に根ざしているので、ギリシャという船乗り社会の伝統だったような気がします。
ただ、プラトンは多くの本を残していますし、プラトンの考えというのはとても魅力的です。
観察してこうじゃないかというのは、観察したらみんながわかってしまうので、アイデア面での飛躍があまりありません。
学問の世界でも、新しい説は説得力があって、プラスドキッとするようなカッコよさ、思い切りのよさ(意外性)が、ある程度必要です。
その点、プラトンの「イデアがある」というのはカッコいい。
なるほど、腹に落ちたという感じが特に観念論が好きなみなさんにはしませんか。
だからめちゃくちゃ頭のいい哲学者が考えた観念論は、ものすごく強い生命力を持つのです。
みんながよくわからなくても、なんとなくそれに惹かれるのです。