レビュー
「あなたは、○○タイプの人ね」と性格を型で判断されたことは、誰しも何度かあるのではないだろうか。また、悪態をついている人を見かけたときに、「なんて短気な人なんだろう」と即断したことがあるかもしれない。わたしたちは普段、自分の判断基準に従って、他人の言動や状況を解釈している。限定的なシーンや、偏った基準で判断することで、自分勝手な解釈をしてしまうこともある。しかし、彼らはたまたまそのときに、個人的な目標を追求するため、いつもと違う自分を演じていただけかもしれない。このような、パーソナリティの変化できる一面を、本書『自分の価値を最大にする ハーバードの心理学講義』で著者は「自由特性」と呼んでいる。「自由特性」に注目することは、他者を理解する上での柔軟性につながるはずだ。
著者は、「パーソナリティ心理学」の分野で世界的に有名な研究者であるのみならず、多くの有名大学で教鞭をとり、絶大な人気を誇っている。著者はジョークを連発して学生たちをよく笑わせるので、講義はとても活気があるという。もともと外向的なふるまいが得意なのかと思いきや、著者は自身を内向的な性格だと説明している。登壇する際、いつもと違う自分を演じるスイッチを「カチッ」と入れているのだ。