「国会対応」とは、国会で質問を受ける議員の答弁を作成する重要な業務で、議員からの「質問通告」を待機し、各省庁に割り振られた後に答弁作成が始まります。

 内閣官房内閣人事局の調査(「国会に関する業務の調査・第3回目(調査結果)」)によると、質問取り(または質問要旨の受領・確認)が終わる17府省庁での平均時刻は20時19分、省内での質問表・答弁作成局の割り振りが確定する平均時刻は22時28分となっていました。最も遅い時刻は、質問取りが23時30分、割り振りが26時35分だといいます。

 働き方改革を推進しようとしている国会議員の“お世話”のために国家公務員が、深夜まで残業を強いられる――。こうした国会運営の構造的な問題を解決しない限り、霞が関の働き方改革は難しいのではないでしょうか。

月間残業時間が10時間以下
「裁判所」の働き方とは

 その一方で、月間残業時間が9.15時間という短さなのが裁判所です。残業時間は1位の財務省の約8分の1にすぎません。残業時間が短い理由としては、省庁と異なり、国会対応がないことが挙げられますが、さらにワークライフバランス向上を推進する組織風土も関係しているようです。裁判所職員のクチコミから、リアルな働き方を見ていきましょう。

【裁判所職員のクチコミ】
「裁判部の事務官であれば、毎日定時(5時)に帰れる部署は多くある。書記官はこの限りではなく、最高裁や事務局、繁忙な裁判部など、長時間残業が常態化している部署もあるため一概には言えないが、終電前後まで働かされるような部署はごく僅かで、裁判部であれば繁忙部の繁忙期でも8時~10時には退庁できることがほとんど(書記官でも定時に退庁できる部署はある)。なお、組織としては長時間残業が歓迎されておらず、残業申請が一定時間を超えると上司等との面談により業務効率化を促されるシステムとなっている(裁判所書記官、女性)」

「部署によるが、特に事務官のうちは一般的な企業の社員よりも残業は少ないと思われ、基本的に土日祝日が休みでかつ有給も取りやすいので、自分の時間は取りやすいと感じる。実際に子どもとの時間や趣味の時間を充実させている人が多い。(事務官、女性)」

「基本的に業務内容や量の面からは余裕があるため、ワークライフバランスとしては申し分無い。事務局勤務になると相応の残業が必要になるが、給与面や内容からすれば、民間企業と比較して相当恵まれているのではないか。(事件部・裁判所書記官、男性)」

 国家公務員を目指す学生は、こうした組織における業務や風土の違いも理解しながら、どんな組織で働くべきかを考えて、自分に合った官公庁を選ぶことが大切ではないでしょうか。

(本記事はOpenWork[オープンワーク]からの提供データを基に制作しています)