下方修正のみならず
上方修正も影響大

 日常のビジネス活動の中で、見通しが修正される身近な例は、売り上げ見込みと実績の乖離による見込み数値の修正だろう。毎年、毎四半期、毎月という単位で、次の期の売り上げ見込みの件数や金額を報告し、定期的に見込み数値の修正をせざるを得ない場面だ。

 企業レベルのみならず、個人レベルでも見込みと実績の一致度が高い人もいれば、乖離が大きい人もいる。このように申し上げると、「しょせん見込み数値なので、実績との間に差異が出て当たり前ではないか」「それも、見込みは100%だけれども、実績は130%というように、上方修正であれば歓迎すべきではないか」という声が届く。果たしてそうだろうか。

 見込み数値に基づいて、さまざまな計画が立てられて実行に移されている。見込み数値の修正は、それらの全てが計画通りにいかなくなってしまうことを意味する。業種にもよるだろうが、仕入れコストも増大するだろう。工場の稼働計画にも影響があるだろう。それらに携わる全ての人々に影響が及ぶ。だから、下方修正はおろか、上方修正であっても、見込みの修正は最小限に抑えるべきなのだ。

 ほとんどの企業が、売り上げ実績の多寡に応じて、組織や社員の業績評価をしているが、中には、それに加えて、見込みと実績の乖離が小さいと高く評価し、乖離が大きいと低く評価する企業もある。

 私は、見込みと実績の乖離を業績評価に用いる企業がもっと増えるべきだと思う。見込み数値の修正をせざるを得ない事態は恥ずべきことだという認識を、ビジネスパーソンはもっと持つべきだ。