「週刊ダイヤモンド」の前号の特集は「銀行・証券断末魔」だった。実際、金融機関に勤める若い世代に話を聞くと、明るい将来を描けていない人が多い。
その理由の一つは、キャッシュレス化や人工知能(AI)などを用いたフィンテックの普及によって、人員が大幅に削減されるのではないかという懸念にある。
では、まさにそれらが世界最速で実現している北欧の金融業界の現場では悲観論が渦巻いているのだろうか?
かの地の銀行員は「金融は”衰退産業"だ」と嘆いているだろうか?
学生の就職先としての金融業の人気は、日本のように急落しているのだろうか?
9月後半に大和総研の中曾宏理事長(前日本銀行副総裁)を団長とする「北欧フィンテック・キャッシュレスおよび金融事情調査団」(金融財政事情研究会主催)に参加した。スウェーデン、フィンランド、エストニアでわれわれ視察団は金融機関に前述のような問題意識を投げ掛けてみた。すると予想外の答えが返ってきた。