名医やトップドクターと呼ばれる医師、ゴッドハンド(神の手)を持つといわれる医師、患者から厚い信頼を寄せられる医師、その道を究めようとする医師を、医療ジャーナリストの木原洋美が取材し、仕事ぶりや仕事哲学などを伝える。今回は第18回。心臓と血管を扱う循環器内科でありながら、世界初の「超音波で認知症を治す」という治療法を発表して注目されている下川宏明医師(東北大学教授)を紹介する。(医療ジャーナリスト 木原洋美)
認知症を超音波で治す
世界初の治療法登場
「世界初のアルツハイマー型認知症に対する超音波治療の医師主導治験を開始します」――2018年6月19日、東北大学大学院が発表したプレスリリースが大きな注目を集めた。
発表したのは、同大学院 医学系研究科 循環器内科学分野の教授・下川宏明先生が牽引する研究グループ。特殊な条件の低出力パルス波超音波(low-intensity pulsed ultrasound:LIPUS)がマウスのアルツハイマー型認知症モデルにおいて認知機能低下を抑制する可能性があることを見いだし、2018年6月より、実際の患者を対象とする治験をスタートさせるのだという。