中国は長年、貯蓄に精を出す国だった。何十年もの間、国民は米国人に比べ、所得のずっと多くの割合を貯蓄に回してきた。こうしてため込まれた資本は中国の経済的台頭の原動力となった。中国の銀行は膨れ上がった預金残高を、工場や道路の建設をまかなう資金に供給。政府は外国のインフラ事業に融資し、米国債を1兆ドル(約108兆円)以上買い入れるなどして世界の主要な債権国の立場に躍り出た。一方、貯蓄は他の国々との緊張を高める原因にもなった。欧米の指導者は中国が支出を抑制し、世界経済を自国に都合よく誘導していると主張した。だが、過去に例のないこの貯蓄パターンが今や転換点を迎えている。良い意味でも悪い意味でも、その影響は世界に波及するだろう。