1990年代から2000年代初めにかけて、中国では汚職が横行していたが、経済成長ペースも速かった。近年ではさまざまな面で汚職が減ったが、成長も減速している。これは単なる偶然ではないかもしれない。制度部門や金融部門の抜本的な改革がない中、ある程度の汚職は実のところ中国の成長モデルに不可欠だった可能性を示唆する調査が増えている。秩序に欠ける地方当局者を統制することは、2012年に習近平国家主席が就任して以来、政権の目玉政策となっている。容赦ない汚職撲滅運動は習氏の地位固めと権力強化の一助となった。だが、政府と渡り合う裏ルートを閉ざされて最も痛手を被るのは、国内の官僚制度で既に多くの壁に直面している民間の中小企業かもしれない。中国の過去30年の急成長を支えてきたのはこうした中小企業であるため、これは大きな問題となる。