世界で商用化が広がる5Gを最初に体感できるのがスマートフォンで、すでに世界市場には「5Gスマホ」が続々と登場している。先行する韓国勢と中国勢に対し、米アップルはどう出るか。特集「5G大戦」(全11回)のVol.06では、その攻防をお届けする。(ダイヤモンド編集部 村井令二)
「4Gよりも急速に広がっている」
世界で始まった5Gの商用化サービス
「4Gの時代よりも急速に広がっているのは間違いない」。5G用半導体大手の米クアルコムのクリスティアーノ・アモン社長は9月に東京で記者会見し、5G対応のスマートフォンの広がりに実感を込めた。
今やクアルコムの通信用半導体(モデムチップ)は5Gスマホに欠かせない。世界で5G用モデムチップを製造できるのはクアルコムと中国・華為技術(ファーウェイ)の2社のみ。だが、米国向けにファーウェイの部品が使えないため、事実上、5G用モデムチップを供給できるのはクアルコムだけだ。
そのクアルコムの5G用モデムチップを搭載したスマホメーカーは20社を超え、150機種以上の端末に搭載が決まった。つまり、それだけの数の5G対応端末が、これから続々と市場に出る。
すでに世界では2019年から5Gの商用化サービスが始まっており、今年4月に「世界初」を争った韓国と米国に続き、スイス、英国、アイルランド、ドイツ、イタリア、フィンランド、スペインなど欧州各国に広がり、オーストラリアや中東でもスタートした。
これらの国々に対し、先行して5Gスマホを投入したのが韓国勢。4G時代のスマホ王者のサムスン電子は「Galaxy S10 5G」というフラッグシップの5Gスマホを韓国市場と米国市場に投入し、欧州やオーストラリアでも販売開始済み。LG電子も「V50 ThinQ 5G」という5Gスマホを韓国、米国、欧州の主要市場で売り出した。
それに対抗するのが、ファーウェイ、中興通訊(ZTE)、小米(シャオミ)、OPPO(オッポ)、Vivo(ビボ)の中国勢だ。