遠隔操作、VR活用、IoT――。5Gはビジネスモデルや仕事場に変革をもたらす。そこで特集「5G大戦」(全11回)ではVol.04~05の2回にわたり、5Gを有効活用するためのポイントを徹底解説する。 今回のVol.05では、通信キャリア3社やトヨタ自動車などの事例を通して「5G活用5カ条」の下編をお届けする。(ダイヤモンド編集部副編集長 大矢博之)
椅子に座ると心拍などの体調の情報をセンサーが計測し、従業員の健康状態が把握できる――。
今春、ソフトバンクとその傘下のワイヤレス・シティ・プランニング、シャープ、イトーキなどが、スマートオフィスの実現を目指して広島県東広島市で行った実証試験の内容だ。
椅子の他にも温度や湿度、気圧などを測定するセンサーを東広島市役所の室内に多数配置。センサーを高密度に設置した環境下でも、5Gの特徴である同時多接続の特徴を生かし、リアルタイムにデータ収集ができるかどうかをチェックした。
労働環境の改善を目指して実施された試験なのだが、この内容を耳にしたあるメーカーの幹部は、こんな感想を漏らした。
「椅子に座るたびに課金すればいい。これが5Gの稼ぎ方だ」
5Gが真価を発揮するのはIoTと組み合わせたときだ。センサーなどから得た情報を基に、ユーザーが「いつ」「どこで」「どれだけ」利用したのかをリアルタイムで把握できるようになる。
あらゆるモノが5Gでつながる。これにより、椅子は売り切り型ではなく、何分座ったのかという時間に応じて課金するという新しいビジネスが生まれるのだ。