日本の英語教育は間違っていない!文科省が気づかない真の問題
日本人の英語力は、本当にグローバル水準に達していないのか(写真はイメージです) Photo:PIXTA

英語民間試験の導入延期が決定
浮き彫りになった3つの問題

 大学入試改革の大きな項目の1つだった、英語民間試験の導入延期が決定されました。きっかけは萩生田文部科学大臣がテレビで行った「身の丈」失言でした。

 そもそも大学入試での民間試験の導入については、3つの問題が指摘されてきました。1つめに、受検会場が一部の都道府県に限られることです。47都道府県すべてにおいて受検できるのは、英検とGTECだけ。四国には受検会場がないテストがあったり、同じ都道府県内でも京都府福知山市の生徒は京都市まで出かけないと受けられなかったりといった地域格差が問題でした。

 2つめの問題が、所得格差が点数格差につながるという問題です。今回新たに導入される予定だったTOEFLがわかりやすい例ですが、TOEFLにはテクニックがあって、対策をすればするほど点数が上がるというテストです。

 塾に通ってテクニックを取得し、模試という形で何度もコンピュータの試験を受け続けていくと点数が上がる。一方で、初めてテクニックなしで受検をすると、英語が得意な生徒でもそれほどよい成績はとれない。そのような性格の試験を大学入試に導入することが、公平かという問題提起が行われたのです。

 萩生田大臣の「身の丈発言」は、この2つめの問題についての議論の中で出てしまった失言で、発言のインパクトとしては、かつての池田勇人総理による「貧乏人は麦を食え」と同じレベルの失言でした。民間試験を撤回させるには、十分な破壊力がある発言だったといえるのではないでしょうか。

 結局、文科省は英語民間試験の導入を延期し、2024年度に抜本的な見直しを行った上で実施する方針を発表しました。それだけ時間をかければ、少なくとも1つめの問題は解決するでしょう。しかし、2つめの問題は引き続き残ります。

 そして、3つめの問題がさらに事態を混迷させるといわれます。それは、今回の改革の方向性が正しいのかという論点です。

 そもそも日本人の英語教育に対する認識は、中学1年生から大学2年生まで、8年間英語教育を受けていながら、多くの日本人は英語を実生活で使えない、というものです。グローバル水準に達していないことが問題だという考え方が、前提にあります。