動物と人間の違い

出口　ただ、教育や宗教は、普通の商品のように簡単に輸出入ができないですよね。
　宗教を売る人も買う人もいるというのも、何かヘンですよね。
　世界商品は交易に付随する概念なのです。
　交易がなぜ重要かといえば、いろいろな本にも書いてありますが、動物と人間の違いがここにあるからなのです。
　実は、動物と人間の違いは、極論すれば「交易」だけなのです。
　動物は生態系の中でしか生きられない。
　一方、人間は生態系にないものをよそから持ってきて、文明をつくり、交易の対象を「商品」と呼んだ。
　定義の問題ですが、教育や宗教はいろいろな人々に影響は与えますが、商品ではないですよね。

――わかりました。

出口　よろしければ、『哲学と宗教全史』の今までのバックナンバーもご覧ください。