なぜ企業は史上最も安い資金を借りて投資を増やさなかったのか。これは金融を巡る過去10年の大きななぞの1つだ。「投資低迷はキャッシュが投資でなく自社株買いに使われたからだ」「株主は短期筋だ」「独占的な行為のせいだ」「最高経営責任者(CEO)たちが貪欲なためだ」など、理論はいくつもあるが、大半は間違っている。それに代わる双子の理論もある。「景気低迷のせいで新しい工場の魅力がなくなった」一方、「投資家が資金を投じたがる破壊的技術の分野にはあまり投資対象がなかった」、というものだ。安い資金が企業を通じて実体経済に流入することがいかに難しいかを知るため、株式市場の勝ち組と負け組を見てみたい。株式投資家は半世紀以上なかったほど歩みの遅い米経済に当然の懸念を抱きながら、新たな破壊的技術に胸を躍らせている。先進国経済の成長に拡大を依存する企業が暗い見通しを示し、そのため資本に飢えていたのに対し、新しい技術にはキャッシュが流入し、その多くは投資としてカウントされないものに投じられた。プログラマー、ブランド構築、顧客への補助金などだ。
企業の設備投資、低利資金でも盛り上がらない理由
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