ヘルシー志向の人々には定番になっている糖質を抑えた食品。近年では“調味料”にも糖質ゼロの波が到来している。なかでも、多くの調味料を開発するキング醸造の糖質ゼロシリーズは、顧客の声に耳を傾けた商品開発が話題を呼び、人気を博しているという。(清談社 真島加代)
基礎調味料市場全体は
縮小傾向に
しょうゆやみりんなど、料理にコクをもたらす“基礎調味料”の市場は過渡期を迎えているという。「日の出みりん」で知られる、老舗醸造調味料メーカー・キング醸造、マーケティング開発部マーケティング戦略課マネージャーの竹山慎一郎氏は市場の傾向についてこう分析する。
「基礎調味料市場全体は縮小傾向にあります。共働き家庭や単身世帯の増加など、ライフスタイルの変化によって料理にかける時間が年々短くなり、基礎調味料を使用する“時間がかかる料理”を作る人が減っています。そのことが、市場縮小につながっているようです」
実際、スーパーマーケットの基礎調味料の棚は年々小さくなっており、市場の縮小は肌で感じることができる。そのため、食品メーカー各社も新市場の開拓に力を入れているという。
「現在、定番化している新鮮なしょうゆは、数年前は新機軸でした。2017年頃には国産米を使った調味料の広がりも見られましたが、これからもメーカー各社がバリエーションを細分化していく傾向は続く可能性が高いですね」
そして、キング醸造が新機軸として取り組んでいるのが、調味料の「糖質ゼロ」シリーズの開発だ。確かに、糖質制限はダイエットの一ジャンルとして確立しつつあり、ニーズもある。しかし、糖質ゼロ調味料を買い求める理由はダイエット目的とはいえないらしい。
「ダイエットの場合は主食の糖質を制限する人が多く、調味料まではこだわらないケースが多いです。しかし、糖尿病や糖尿病手前で食事療法をしている本人、そしてその家族にとって、調味料は生活に直結します。小さじ1杯のみりんでも糖質量が気になり、使うのを控えてしまいがちですが、糖質ゼロならば糖質量を気にせず使うことができる、というのが糖質ゼロ調味料を購入する人の特徴です」
そのほか「筋肉量を増やすために、調味料から糖質をコントロールしたい」という筋トレニーズも高い、と竹山氏。一般的な糖質ゼロ商品とは少々、購買層に違いがあるようだ。