過去10年の就職人気企業ランキングを主要業種別に分析した中から、商社編をお送りする。同業種の企業同士なら、普段は技術力や資本力、営業力を武器にシェアを争うが、学生の人気にはそうした武器が通用しない面もある。商社の意外な浮き沈みが見えてきた。(ダイヤモンド編集部 片田江康男)

同業界のライバル企業の順位は?
人材争奪戦を左右する業種別順位

 優秀な学生は大学3年時の夏休みを利用して、複数の企業でインターンシップを経験するなど、企業研究に時間をかけて就職活動に臨んでいる。就職戦線が売り手市場だということもあって、じっくりと企業を選ぶという学生たちの姿勢は年々顕著になっている。

 だからこそ、企業の人事担当者が気にしておきたいのが業種別の就職人気企業ランキングの順位だ。自社が同業種のライバル企業と比較して、学生たちから評価されているのか、十分に自社の魅力を学生にアピールできているのか、常に意識しておきたい。

 優秀な学生ほど、同業種のライバル企業と取り合いになる。就職人気企業ランキングにおいて、同業種の企業と比較して順位が上でなければ、奪い合いになった場面で負けてしまう可能性が高いといえるだろう。

 興味深いのは、この順位にはその企業の業績やシェア、規模、技術力などとは別のロジックが働いている側面がある点だ。そのため、意外な業種内序列が見られることが多い。

 今回、過去10年分の業種別順位の変遷を調べた。その中から、商社の対決を見てみよう。

伊藤忠商事、男女で強し!
豊田通商も5大商社を凌ぐ

 この10年間、伊藤忠商事の追い上げには目を見張るものがある。ついに最新版(21年卒)で文系男子、文系女子での二冠を達成した。「朝型勤務」や「脱スーツ・デー」の導入など、国を挙げて取り組んでいる「働き方改革」において矢継ぎ早の改革を断行し、先進的なイメージが定着していることが勝因だろう。

 そして、この総合商社人気が15年卒から理系男女に伝播している。

 理系男子のトップ5は、東芝や日立製作所、パナソニックやソニーなどの電機メーカーが常連だった。しかし、東芝の不正会計事件などがきっかけで電機メーカーの人気が落ち、それに替わって総合商社が浮上している。

 理系女子も総合商社が採用枠を確保するようになったことで人気が出始め、それまでのトップ5の常連だった食品関連メーカーの牙城を崩した。

 他にも銀行や生命保険、損害保険、航空、電機、自動車など、主要業種別に過去10年間の就職人気企業ランキングをダイヤモンド・オンラインで掲載している。

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