金融はサービス業。お客さまに高い価値を提供できなければ沈む
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SMBC日興証券は来春、金融機関では極めて珍しい週休4日制を導入する。近年、増加傾向にある介護離職などを防ぐ目的だが、清水喜彦社長は金融サービスの質を向上させるという戦略的な狙いも込める。(聞き手/ダイヤモンド編集部 重石岳史)

――インターネット証券で株式売買手数料を無料化する動きが出ていますが、どのように見ていますか。

 まず今の金融業界を取り巻くのは、不安定、不確実、不透明な世界景気、それに加えて異業種の参入や金融システムの変化といったものがある。これらはネガティブポイントかもしれないが、これをもって「業界が大変だ」というのは間違っていると思う。私には実は悲愴感はありません。

 なぜなら金融はサービス業だと思っているから。サービス業がなくなるかといえば絶対になくならない。

 SMBC日興証券には四つの経営理念がありますが、その1番目は「お客さまを中心に考え、より高い価値を提供する」こと、そして2番目は「お客さまと共に発展し、最高の信頼を得られる会社を目指す」こと。これがすなわち、サービス業であるゆえんです。

 誰でもできるサービスなら、手数料は競争状態の中でゼロに収束していくでしょう。しかしわれわれの経営理念に掲げているように、より高い価値を提供し、お客さまに喜んでいただければ、そのサービスの対価として手数料を頂けるに決まっている。

 むしろ世の中がこれだけ不安定、不確実、不透明になれば、そのサービスの差が大きく開くと思っている。ある意味ではチャンスだ。ただしチャンスとピンチはコインの表と裏でもある。もし高い価値を提供できなければ、われわれも沈む。

 私が子供だった頃、老若男女の皆が好きな歌謡曲があり、1年をかけて見られるテレビ番組があった。しかし今はそんな時代ではない。人々の嗜好が分散し、流行の期間も短い。

 人々の嗜好を穴に例えたら、昔は一つの大きな穴を見つければ、サービス業としてそこに集中していればよかった。だが今は小さな穴が分散している。

 インターネット証券は素晴らしいと思う。でも今、頭打ちになり始めている。なぜか。そこで掘れる穴が限界に達しているから。インターネットで簡単に掘れる穴は掘り尽くされてしまった。だから無料化に踏み切るしかない。