沓掛英二
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売上高6685億円、営業利益791億円、日本有数のデベロッパーに成長した野村不動産グループ。その中核企業である野村不動産は1957年の設立で、60年以上の歴史を持つ。そんなグループの持ち株会社、野村不動産ホールディングスの社長に2015年、新たに就任したのが沓掛英二氏だ。野村證券でおよそ30年間、証券業界に身を置いた後、畑違いの不動産業に足を踏み入れた。不動産業界では異色の経歴を持っているからこそ、組織の保守的な一面にも気付いた。それに対し、グループ一丸となって改革に挑んでいる。(聞き手/ダイヤモンド編集部 大根田康介)

2歩先回りしながら足元の戦略を立てる

──野村證券副社長から野村不動産ホールディングス(以下、野村不動産HD)社長になりました。仕事における環境や意識は変わりましたか。

 不動産業界で現在起こっている状況は、基本的に少なくとも5年くらい前の市場環境認識が反映されています。なぜなら、不動産開発にはそれくらいの時間がかかるからです。現在の不動産市況は好調ですが、その兆しは私が野村不動産HDの社長に就任した2015年あたりからかなり表れていました。 

 その意味で、不動産業は長期トレンド、大局的に捉える要素が大きいですね。

 逆に私が30年間携わってきた証券業は、他の人から見れば短期トレンド、近視眼的に見えるのでしょう。野村不動産の諸先輩方からも「不動産は時間軸が長いから、証券とは違う観点で経営すべきだ」とのアドバイスを幾つも頂きました。

「その通りだ」と思いつつも、一方で「それでは非常に保守的だな。社会の変化に気付きづらいのではないか」という疑念も生まれました。そのモヤモヤを解消するために、不動産についてかなり勉強して、大きく変えた方がよい部分もあるのだと気付きました。