東京ドームの大規模ミサで手を振るローマ教皇
11月に来日したローマ教皇は、日本社会の抱える問題に多くのメッセージを残した Photo:JIJI

11月に4日間、日本を訪れたローマ教皇は、格差の拡大や過度な競争社会、いじめなど、日本社会が直面する厳しい現実に対して、具体的な言葉を数多く残した。豊かになったのに、多くの日本人の心に虚しさや物足りなさが拡大していくのはなぜなのか。フランシスコ教皇の教えに耳を傾けてみよう。(ジャーナリスト 草薙厚子)

4日間の訪日で
精力的に活動した

『この国での滞在は短いものでしたが、大変密度の濃いものでした。神と、日本のすべての人々に、この国を訪れる機会をいただいたことを感謝します。日本は、聖フランシスコ・ザビエルの人生に多大な影響を与えた国であり、多くの殉教者がキリスト教信仰を証した国です』

 11月23日から26日まで、38年振りとなるローマ教皇の来日は、4日間という短い期間ではあったが、広島、長崎へ飛び、また若者との対話、東京ドームでのミサなど、“スーパー法王”の呼び名にふさわしい精力的な活動を行なった。

 最後のメッセージでは、キリスト教を初めて日本に伝道したフランシスコ・ザビエル、またその後のキリシタン弾圧の歴史を踏まえつつ、日本人に対する感謝の意を伝え、数多くのメッセージを残し、帰国の途についた。

 教皇のメッセージは常に弱者目線で、わかりやすい言葉で語られる。2013年の教皇就任以来、これまでに残してきたメッセージの数々は「ローマ法王の言葉」(講談社)に詳しいが、聖書の引用に関しても、抽象的にならないようにわかりやすいメタファー(比喩)を使っているため、言葉が自然と心に入ってくるのだ。

 そこでクリスマス、年末年始を迎え、2019年を振り返る機会が多い中、フランシスコ教皇が残した、日本人が忘れかけていた正義のメッセージを、改めて追ってみたい。