あおり運転をする悪質ドライバーに対する包囲網は、着々と進んでいる
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社会問題となっている「あおり運転」を巡り、今年もさまざまな事件がクローズアップされたが、年の瀬の12月になって、2つの大きな出来事が相次いだ。いずれも6日付で、1つは警察庁が道路交通法の条文を改正してあおり運転を法的に定義し、新たに罰則を創設する方針を固めたこと。もう1つは、世間が厳罰を求めるきっかけになった東名高速あおり運転事件の控訴審で、東京高裁が一審判決を破棄し、差し戻したことだ。今夏は常磐自動車道で男が蛇行運転を繰り返した揚げ句、停止させた男性を殴る事件などが注目され、厳罰化の流れは「待ったなし」だ。警察庁の方針には歓迎の声も聞かれるが、裁判やり直しで東名事件の遺族は悲嘆に暮れている。(事件ジャーナリスト 戸田一法)

ノーカウントでやり直し

 まず、2つの動きは新聞やテレビでも報じられているが、いずれも分かりにくい解説だった。「なぜ?」という疑問がぬぐえない方もいるかも知れないので、かいつまんで説明したい。

 事件は2017年6月5日夜、東名高速で発生した。石橋和歩被告(28)がパーキングエリアで、萩山嘉久さん(当時45)に駐車の仕方を注意されて逆上。

 萩山さんと妻の友香さん(当時39)と娘2人の一家4人が乗ったワゴン車を追跡して妨害行為を繰り返し、東名高速の追い越し車線に停車させた。そして、大型トラックによる追突で萩山さん夫婦を死亡させ、娘2人も負傷させた――というものだ。