キープレイヤーズ 代表取締役、エンジェル投資家 高野秀敏

■2019年の振り返り

 医療/ヘルスケア領域:メドレー、ステムリム、フレアス、Welby、JMDC
 HR領域:識学、カオナビ、ギークス、ジェイック、スポーツフィールド
 SaaS領域:Sansan、SmartHR、ヤプリ
 AI領域:AI inside、ビースポーク
 X-Tech:ユニオンテック

■2020年のトレンド予測

 AI、医療、X-tech、SaaS、 VTuber、宇宙など、本年に引き続き盛り上がりが予想される。

 また、東北や地方。政府も地方創生には力を入れている。特に仙台市では行政を中心として上場支援に積極的に取り組みはじめており、地方創生の文脈からも成長、発展が期待される。私自身、仙台出身の人間としてコミットしたい。

 海外では、バングラデシュの規制緩和でVCがルール上OKとなったため、「スタートアップエコシステム in バングラデシュ」が可能になる。近隣諸国ではインドに注力している投資家が多いが、ダッカは人口密度世界ナンバーワンで狭いエリアに密集しながら成長しており、都市そのものがスタートアップのようなもの。成長力が高い。

 投資先のAIチャットボットのビースポークは、世界のホテルや空港、地下鉄に導入が始まっており、日本発世界でサービス展開をしているが、さらに拡大、発展するものと思われる。また数少ない女性起業家でもある。

IDATEN Ventures 代表パートナー 足立健太

■2019年の振り返り

 IDATEN Venturesは製造業を中心とした投資を展開しており、毎月、この領域における資金調達ニュースをブログにまとめています。こで目立った投資領域トップ3は、AI、バッテリー、ドローンでした。ハードウェアにとっての脳にあたるAIと、心臓にあたるバッテリーへの投資が同時に盛り上がったことは興味深く、来年以降、ハードウェアが一気に高度化しそうです。ドローンは、その先鞭ではないでしょうか。

■2020年のトレンド予測

 LinkedIn調査では、2019年に最も数が増えた求人はAIスペシャリストとのことです。先行指標である求人数が伸びたということは、2020年も引き続きAI関連領域が盛り上がることが予想されます。

 ただ一口にAIと言っても、私は2020年はこれまでとは異なる動きを予想しています。これまでAIスタートアップといえば、深層学習を核として幅広い課題に対応するホリゾンタルタイプが多かった印象があります。そして2019年、この流れの中で多くのPoCが実施されましたが、そこで解決されなかった課題が多く認識されています。2020年は、これまでとは異なるアプローチでそうした未解決課題の解決に乗り出す動きが本格化するでしょう。

 私が考えている具体的な方向性は、(1)深層学習とは異なるアプローチ(例:少量データ×リアルタイム学習が可能なリザーバコンピューティングを手掛けるQuantumCore)、(2)深層学習の弱点を補うアプローチ(例:データプレパレーションを容易化させるマルチバリューデータベースを手掛けるシマント)、(3)特定課題に特化したバーティカルアプローチ――の3つです。(3)においては、バーティカルなウェブサービスがホリゾンタルな大手ウェブサービスに買収されてきた歴史と同様なことが発生し、AI領域でも早期エグジットが散見され始めるとも予想しています。IRRの関連から、さらなるVCマネーの流入も起こりそうです。

アプリコット・ベンチャーズ 代表取締役 / ジェネラル・パートナー 白川 智樹

■2019年の振り返り

 ソフトバンク。ZOZO・LINE・ビジョンファンドなど、国内外で話題の中心でした。

 国内では、労働人口の減少・生産性向上に関連する領域全般。建設や製造業などの業界特化型や、営業・マーケティング・HR関連のSaaSが大型資金調達。採用支援では副業やスポットマッチングの分野も各産業で興りました。C向けでは、アパレル・美容・ペット・健康関連などD2Cブランドが多様化し、大手ブランドのD2C化も益々進みそう。

■2020年のトレンド予測

 1つは「DX(デジタルトランスフォーメーション)文脈」です。2019年に引き続き、業界構造やビジネスプロセスの変化を促すSaaS・マーケットプレイス的なソリューションや、AI・ブロックチェーン領域で見られるような大企業とスタートアップの事業開発に加え、大企業のデジタル化推進の中核としてスタートアップのアクハイアリングへの需要が増すのではと感じています(文脈は異なりますが、メガベンチャー×スタートアップの合従も合わせて)。

 もう1つは、広義の「人間拡張」領域に注目しています。身体的な分野では、協働ロボットやアバターも含めた産業用利用、整形・矯正・医療などの美容健康文脈からの普及、パラリンピックなどを機にしたスポーツ文脈など。知覚的な領域では、ユーザー向けのVR・AR・IoTデバイスや5Gの普及が待たれる状況です。