1年で最も売れる「週刊ダイヤモンド」年末年始の恒例企画をオンラインで同時展開するスペシャル特集「総予測2020」。ダイヤモンド編集部が総力を挙げて、多くの識者や経営者に取材を敢行。「2020年の羅針盤」となる特集をお届けする。今回は、伊藤忠商事の鈴木善久社長COO(最高執行責任者)に2020年を予測してもらった。総合商社の中で期初予想通りの純利益を達成しそうなのが、非資源に強い伊藤忠商事だ。悲願の業界トップの座も視野に入るが、そんな伊藤忠でさえも次なる成長の一手を打たなければ、さらなる成長は望めない。(聞き手/ダイヤモンド編集部 重石岳史)
総合商社業界の2020年は
各社の強さと弱さがより顕在化する
――総合商社業界の2020年をどう見通しますか。
20年は見通しが立てにくい微妙な年になると思います。19年度上期の決算も業界内の浮き沈みが激しい。それだけ経営環境が変わり、各社の特徴が顕著になってきている。おそらく20年もこれが続くでしょう。
伊藤忠商事は「非資源事業でナンバーワンになる」と言い、それをクリアしたら「商社2強を狙う」と言ってやってきた。総合商社の中でも特に生活消費関連に重きを置くスタンスで、経営環境が変わると結果としてその差が表れ、上期は1番になれたのだと思う。
経営環境の何が変わったといえば、資源価格のぶれです。伊藤忠にとっても資源は大事なビジネスですが、それ以外の部分を非常に強化している特徴がある。またヤフーとLINEが経営統合したように、世の中の流れは生活消費に向かっている。いろいろなものがプラットフォーム化し、製造業がサービス業に引っ張られる時代が来ると、生活消費を重視していることがもっと強みになるのではないか。20年はそれがさらに進み、各社の強さや弱さがより顕在化するかもしれない。