1年で最も売れる「週刊ダイヤモンド」年末年始の恒例企画をオンラインで同時展開するスペシャル特集「総予測2020」。ダイヤモンド編集部が総力を挙げて、多くの識者や経営者に取材を敢行。「2020年の羅針盤」となる特集をお届けする。「5F」「バリューチェーン」など数々のフレームワークの考案者として著名な企業戦略論の大家、ハーバード・ビジネス・スクールのマイケル・ポーター教授は、日本企業が世界の「メガトレンド」に乗り遅れていると警鐘を鳴らす。(ダイヤモンド編集部 竹田幸平)
──かつて日本企業は世界を席巻しましたが、今やグローバルなプレゼンスは後退を余儀なくされました。凋落の理由について経営戦略論の見地からどう考えますか。
日本企業ははっきり言って立ち往生しています。リスクを取ろうとせず、弱気な姿勢が目立つのです。毎年、ただコストカットで、もうけようとしているにすぎない。以前のようにイノベーションを起こす姿は見る影もありません。
私が思うに、日本企業は大きく2つの領域で乗り遅れています。一つ目は、総合的なデジタルトランスフォーメーション(DX)です。これは、世界中の全産業に影響を与えています。金融から自動車産業に至るまで、どの分野においてもそうです。