その、バランス型ファンドの信託報酬(コスト)はいくらですか?
では、実際にある大手メガバンクがラインナップに載せている、バランス型ファンドの事例を取り上げます。
投資初心者の人が、「できるだけ安定的に」とか、「リスクは抑え目に」といったことを伝えれば、「それならば、比較的リスクの少ない、安定型ですね!」と、「安定型のバランスファンド」をすすめられることになるでしょう。
ある投資信託の中身をよく見ると、日本国内の債券に資金の約半分49%を投資する形となっていました。前述した事例にならい、執筆時点の日本の債券で得られるリターンを仮に0.3%だとします。
そして、そのバランス型ファンドの信託報酬の水準を仮に1.78%とすると、日本債券に投資した部分は、マイナス1.48%、毎年損をしていくのです。
0.3%(リターン)−1.78%(信託報酬)=マイナス1.48%(お客様の損)
もちろん、残りの51%の部分であるその他の株式等でリターンを取り戻せれば、全体の運用もマイナスにはなりません。しかし、このバランス型ファンドの実績では、過去1年のリターンがマイナス2.7%超でした。
バランス型ファンドを選ぶ時には、投資対象からのリターンと、それに費やすコストがどうなっているかを考える必要があるのです。
リターンの方が、コストを下回る形を長く続ければ、運用の損の部分を自動的に生み出す方法に投資をしてしまっているのです。
ただし、状況は今後変わる可能性もあります。長期的に見て景気回復とともに金利上昇の局面になれば、債券のリターンも正常なプラスになるでしょう。