コピーの街からイノベーションの街を目指す深セン。ついに世界最大の電気街「華強北」を舞台にした、ハードウェアスタートアップの映画「創客兄弟」が公開された。映画は深セン市福田区が全面バックアップした、プロパガンダ映画ともいえるものだ。そこには深センの歴史と、現在の問題意識が凝縮されている。(ニコ技深センコミュニティ 高須正和)
電気街を舞台にした
スタートアップの成り上がりストーリー
「ハードウェアのシリコンバレー」と称され、多くの製造業やスタートアップの集積が見られる中国広東省深セン市は、東京と同規模に当たる1300万近い人口を抱える大都市でもある。
アジア有数の大都市として、スポーツ育成や文化活動などにもさまざまな取り組みがなされており、映画産業の育成にも行政からの助成が行われている。その一貫として2019年12月27日に、「創客兄弟(メイカーブラザーズ)」という映画が公開された。20年1月時点で深セン市のみで公開されている、日本なら映画祭などでないと観られないようなインディーズ映画だが、制作には深セン市福田区から補助金が投入されている。
映画のざっくりしたストーリーは以下の通りだ。
主人公の許は、華強北電気街でロボットを売る小さい店を営んでいる。許は同じく華強北でスマホの修理や改造を手がける余を誘い、かつてのビジネスパートナーで今は出世して大コンピュータ会社を率いる林から少額の投資を引き出し、さらに凄腕のロボットプログラマー、江を口説き落として、ロボットのプロトタイプを作り上げる。