香港の混乱の余波が、中国への抵抗を別の場所でも駆り立てている。台湾だ。中国政府に対する香港での抗議活動は、自治を維持する台湾の全域で広く共感を引き起こしている。台湾に対しては、中国が領有権を主張する一方で、米国が兵器売却と非公式の政治交流を通じて支援しており、台湾は長期にわたってこの地域の緊張要因となってきた。香港市民への共感は、蔡英文総統(63)の政治的命運を大きく変えた。蔡氏率いる与党・民主進歩党(民進党)は、中国とは異なる台湾の独自性を支持しており、伝統的に独立志向が強いとみられている。11日の総統選で再選を目指す蔡氏は選挙運動の中で、香港デモ参加者に対する支持を明確に打ち出してきた。主要対立候補で親中派とされる野党・国民党の韓国瑜・高雄市長との対比を際立たせた格好だ。現政権が中国の強権的な圧力に対する防波堤になっていると訴えているのだ。